前回のあらすじ
・山梨の村に来た
参加メンバー
KTさん
……「親友と呼べる人がゴエくんしかいない」と言ったら「俺はそう思ってないけどな」と返された
ゴエさん
……「親友と呼べる人がゴエくんしかいない」と言われて「俺はそう思ってないけどな」と返した
伊奈利さん
……まともな人かと思ったら薫製器で消しゴムの薫製を作り始めた
バニラ芭蕉
……前世がバッタ
芭蕉です。
昨日の続きです。
深夜0時、お酒に弱いKTさんが完全に爆睡した頃、そろそろ僕たち3人も疲れてきて誰が寝ると言い出すかのチキンレースが始まろうとしていたのですが、誰からともなく机の上に集めはじめたアイテムを見て我々は眠れないことを悟りました。
食用粘土持ってきてたんだったわ……
※食用粘土とは!
……食べられる岩のこと ほしい物リストから送られてきたので食べざるを得ない状況に置かれてあるが、いくら消費しても全然減らない
アホほど肉を食べ、なんなら食べきれなくて焼くだけ焼いて明日の朝食べようとギブアップまでしたので、もう3人には何かを食べる余裕なんて残されていません。
しかしデザートは別腹と言います。
食用粘土がデザートなのかどうかは置いておいて、せっかくの機会なので食用粘土をおいしく食べてみましょう。
はい、ということでまずはガチで加工するため、伊奈利さんが持ってきた削るヤツで粘土を粉状にしていきます。
クッソ硬い……
毎回思うけどこれ粘土じゃなくて岩だろ……
ゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリ
ゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリ
ゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリ
もうここまできたらコショウだよ
ではまずこのコショウになった粘土と、これを合わせてみましょう。
発掘恐竜です。
こちら、
ホワイトチョコとバターチョコがパズルのように合わさったチョコで、お菓子のコンセプトとしては骨を傷つけないようにチョコの中から発掘しようというものです。
しかし我々は全員成人済み。
無粋とは思いますが、サイバー菓子に物申します。
────これは発掘ではなくただのパズルでは?
……が、これは子供向けに作られたものなので、難易度をほどよくするためにはこれが限界だったのでしょう。
ならば仕方ありません、お菓子のクオリティをあげるのは僕たち消費者の仕事です。
本物の発掘恐竜をお見せしますよ。
こう、砂で恐竜全体を隠すように……
足りなかったので削り直し
全然関係ありませんが、僕のこの時の寝巻きが食用粘土とほぼ同じ色だったため、めちゃくちゃ好きな人みたいになってしまいました。
べっべつに好きとかそういうのじゃないんだからね///
マジで。
10分ほど削り続けてなんとか全体を覆うことに成功。
この見た目だけではもうチョコがあるなんて想像もできないでしょう。
もはや凝縮された砂場です。
机に溢れてしまった粘土がどうみても机の上にあったらお母さんに怒られるやつですが、食べ物なのでまあいいでしょう。
きなこのお菓子とかこぼさずに食べれる人いないですしね。
ここで加える要素は完成……と思ったのですが、伊奈利さんが
「これかけよう」
と言ってこんなものを取り出しました。
チョコスプレー
正直「それはいらなくね?」と思いましたが、発掘恐竜を買ってくれたのも石削器を買ってくれたもの伊奈利さんですし、何より粘土を薫製にされたらたまったもんじゃないので大人しく従うことにします。
パラパラ
猫のトイレじゃん
いや……
猫のトイレじゃん
満場一致で猫のトイレになってしまいました。
さっきまではいい感じに砂場から化石を発掘するお菓子が机の上にあったのに、この一手で猫のトイレから化石を発掘するお菓子という、壊れた人工知能が作った文章みたいなお菓子が完成してしまいました。
これ以上足してもどうしようもないと判断した我々は、いよいよ発掘に取り掛かることに
ハケとか欲しかったんですけど、そんな便利なもの山奥の村にはないので紙スプーンを使って発掘していきます。
でもまあ、この程度のクオリティじゃ発掘を連想させるなんて無理だろうな……適当に砂払ってさっさと終わらせよう
……ん?
ん?
……え
え、すごい
めちゃくちゃ発掘じゃん
めちゃくちゃ発掘じゃん!!!
めちゃくちゃ発掘ですよ博士!!!!!
(こぼれた)
なんということでしょう。
ホワイトチョコが少し盛り上がっていることにより、骨と骨の間に砂がたまりその結果めちゃくちゃ発掘になりました。
予想外のクオリティ。
これはもう発掘恐竜でしょう。
僕がこのお菓子を販売している会社の社員なら、砂を同封するべきだと企画を持ち込みに走り出してしまっていたと思います。
しかしここまでは発見の段階。
発掘をしてこそ発見恐竜です。
男の子なら誰もが憧れるアイテム・十徳ナイフを使ってそれっぽく発掘していきましょう。
上からグッと力を加えるとね、こう、隙間に沿ってチョコがパリパリっと割れてくれるって算法よ
……
復元はもう無理じゃ……
発掘って難しいんですね。
いい勉強になりました。
しかし、食用粘土を使うことでこのお菓子のクオリティは跳ね上がったと思います。
これまででいちばんいい使い方ができたのでは?
味は意外にチョコが強く、噛むときに砂が潰れるミチミチミチと嫌な音がする以外は普通に食べられたのでなんとも言えないです。
文字通り「美味しくて困った」のは初めてでしたね。
ちなみに伊奈利さん、こんなものも持ってきていて
大人とは思えない最悪なことをしていました。
最悪だよ……
しかもこれ、生チョコみたいになっていちばん美味しかった。
さて、次はたけのこの里を使ってみました。
僕はバイト先でお菓子の発注をしているのですが、何回きのこの山を発注しても絶対に店長がそれをキャンセルするのでウチの店舗にはもう半年以上たけのこの里しか扱ってないという思想の問題が激しいお菓子です。
が、これはそもそもたけのこの形を模した半分模型のようなお菓子。
「食べ物で遊ぶな」
と言われたらまず撃沈するのは僕たちですが、その次に怒られてもおかしくなさそうなお菓子(おかしくなさそうなお菓子笑笑)は、きのこ・たけのこチョコシリーズだと僕は思っています。
なのでもうこれ、置くだけで完成なのでは……
ほらもうそれっぽいじゃん
じゃあこれは完成ということで、つぎに……と手を伸ばそうとしたら、伊奈利さんが再びチョコペーストを手に取り
いやそれ絶対蛇足だって
やめとこうよ
ねえ……
(後編へ)
山梨で食用粘土を何とかしようとした話(後編) - フォロワーあのね