フォロワーのみなさんは最近、いつ泣きましたか?
僕は今日です。
芭蕉です。
さて、突然ですが食べ物というと、肉、野菜、魚、その次に何がくるかわりますか?
そうです。
土です。
食用粘土です。
先日、僕はツイッター上で日記を公開しなければ決して人生で出会うことのなかった食材「食用粘土」を我が家に迎えることになり、それを一口食べて記事を書いてややウケを頂きました。
しかしこの時食べたのは氷山の一角。
ほんの10分の1にも達していない量です。
あの砂つぶですら大変だったのに、僕はアレの賞味期限が切れるまでに
粘土を完食しなければならない
という使命を負ってしまったのです。
しかしあの曲者、ストレートで食べてももはやただ砂を口に入れて喉に運ぶだけの修行になってしまう。
粘土といえど食べ物。
何とかして美味しくいただくことはできないものか。
様々な調味料と合わせてみて、粘土を美味しく食べることができる組み合わせを探っていきましょう。
(腐るかどうかもわからないのでとりあえずラップで包んでである粘土)
まずはじめに、このサイズの粘土(岩石)を砕く作業から始めます。
そのままではとても放り込めないサイズですからね。
アフリカマイマイの貝殻くらいのサイズです。
砕きたいのですが、フォークの反対側でいくらつついても砕けません。本当に食べ物?
まあ食べ物ではなさそうなので砕けないのはわかっていたのですが、残念ながら5畳半の我が家には麺棒や全自動卵割機のようなものを砕くための食器がありません。
少し抵抗はありますが、確実に砕けるもので叩きましょう。
一瞬でした。
では早速この粘土を食べていきましょう。
食べなきゃ無くなりませんからね。
まずは塩です。
塩って何にかけても合いますからね。
キャベツからお肉、果ては日本酒のおつまみやアフリカマイマイ……
ここまで万能な調味料であれば、おそらく前回のような苦痛を感じることもなく美味しく味付けできることでしょう。粘土を。
結構ふりかけたつもりが全然粘土に付着しなくてお皿に散らばってしまいました。
そりゃそうか。だって岩石だし。
しかしこれを濡らすとモソモソに砕けることは前回把握済みなので(口に入れた時と同様)、このまま多少の塩と一緒に口に放り込みます。
…………
…………
巨人のポテチ?
なんというか、めちゃくちゃ厚いポテチ。
でもこれならいけるのでは?
ほぼうすしおの味がする。
あちゃ〜1発目から正解見つけちゃったか〜〜😆
口の中がポテチ、
ポテチ、
ポテチ、
ポテチ、
塩、
塩、
塩、
塩、
しお、
しお、
しお、
粘土
粘土
粘土
粘土
粘土…………
粘土でした。
ポテチの味がしたの、はじめの2秒くらいでした。
そのあとはずっと粘土。この間と変わりません。脳裏に田舎、雨上がりのアスファルト。
隣に用意してあった水をコップ1杯飲み干しながらなんとか粘土(砂利)を飲み込みます。
今回の敗因は、おそらく調味料がほとんど付着しなかったこと。
では、油のように接着剤の代わりになるものを用意してあげれば塩がつきやすくなるのでは?
オリーブオイルで試してみましょう。
まずはトロリとオリーブオイルを垂らします。
その上に塩をふりかける。
おぉ〜
とりあえず塩を付着させることには成功しました。
この調子なら、きっと芳醇な香りとともに僕の方に厚いポテチを運んできてくれることでしょう。
口に放り込みます。
鼻を突き抜けるオリーブの香り。
失敗か……そう思った瞬間!
ピスタチオ!?
ピスタチオじゃん!!!!
そう、オリーブ+塩の組み合わせ、なんとピスタチオの味がしたのです!
ほろりと砕けるあの感じ、風味の強いナッツ独特の匂い、そして味付けの塩、確かに言われてみれば特徴は似ています。
よし、多少本物より味は劣るものの、これならおつまみとして余裕で完食でき粘土粘土粘土粘土粘土粘土粘土粘土粘土粘土粘土粘土粘土粘土粘土粘土粘土粘土
粘土
はい。
ピスタチオだったのはじめの一瞬だけでしたね。
食べてる途中の僕のメモからも、突然粘土に口の中を襲われたショックを伺うことができます。
残念ですがオリーブオイルにも何とかできない匂いの強さのようです。食用粘土。
では、塩辛い系がだめなら甘い香りであれば独特のアスファルトの匂いもなんとかなるのではないか?
彼に助けを求めてみましょう。
はちみつ🍯
僕は普段からはちみつがそこそこ好きです。
紅茶を淹れるときははちみつも入れちゃうし、カレーなんかにもたまに入れてしまいます。
そんな何にでも合うはちみつならば、きっと食用粘土にもベストマッチして僕の口に平和をもたらしてくれることでしょう。
早速はちみつを載せます。
見た目は悪くありませんね(この時点で僕はめまいに似たキラキラが見えていたため正しい判断ができていない)。
きっと甘いクッキーのような優しさで僕の砂利にまみれた口の中を癒してくれるはずです。
さぁ、はちみつ粘土のお味は……
最悪。
最悪……
はちみつの嫌な部分だけを抜き取った匂い、重ねて迫り来るアスファルトの砕けた匂い、最悪の匂い。
頭の中はもう襲いかかってくる鉢の群れ、クマの平手、そして粘土。
しばらく数学をしていなかったので、すっかり忘れていました。
マイナスとプラスをかけると、マイナスになるということを……
うっかりマイナスの掛け算をしてしまった僕は、必死に喉の奥にヤバイものを流しこもうとしますが、僕の意思に反して舌の付け根がそれを堰き止めます。
そして返ってくるお茶とヤバイもの。
僕の頭に
「吐き出して捨てれば?」
と悪魔がささやきかけます。
よく考えたら普通に天使だった気もしますが……
しかしこれは人から頂いたもの。譲ることはあっても捨てることなど言語道断。
動物が死ぬタイプの映画を観ている時と同じ勢いで涙が溢れてきますが、なんども水を注ぎ直し、粉薬を飲むときとほぼ同じ要領で何とか飲み込むことができました。
夢に出そうです。
「あぁ……」
と呻き声を漏らしながら膝を抱え5畳半の部屋の隅で背中を丸めましたが、部屋の真ん中には煌々と輝く撮影ブースの真ん中に食用粘土が堂々と待ち構えています。
食べても食べても減らない石。
きっと賽の河原とはこういう気持ちを味わされる所なのでしょう。
石を積むのと食べるのではかなり大きな差がありますが……
涙を拭いて、次の調味料を取りに行きます。
醤油。
醤油なんてもう、煮物の材料から刺身に直接つける味付けまで幅広く活躍する調味料です。
そして程よく何にでも付着する。
これならきっと…………
(手が震えて出しすぎた)
きっと…………
オェェ……
最々悪。
最悪の上を行きました。
「もっとも」の上なので、もう日本語では説明できません。
醤油はおそらくその食べ物の風味を引き立てる役割があるのでしょう。
粘土の風味が引き立てられてしまいました。
もう口に入れる前からヤバイ匂いがして、舌に触れた瞬間トンカチで殴られたような、いえ、トンカチならまだマシでした、粘土で殴られたような衝撃が全身を駆け抜けます。
もう「味わえば途中から美味しくなるのでは?」とかなかったです。
ただ一刻も早く「口から消えて欲しい」
がばがば水を飲み、何度もえづきながら身体の奥にソレを移動させました。
胃の中に味覚を感じる器官がなくて、ほんとに良かった。
顔を上げると、目の前に醤油の乗ったお皿。
フラッシュバックするソレ。
「オェッ」といってしまうと本当に出ちゃいそうなので、必死に
「ピクミンピクミンピクミンピクミンピクミンピクミンピクミンピクミンピクミンピクミンピクミンピクミン」
とブツブツ呟いて難を逃れました。
ちなみにちょうどこの時に宗教の勧誘が来たのですが、まともに相手していられるほど平気ではなかったので
「わたくし***の会の教えを無料でインターネットで閲覧できるサービスを紹介しておりまして……」
「すみません、ウチ電波届かないんで」
と言って追い返してしまいました。
宗教の勧誘に来た方も、扉を開けたら涙を流しながら苦痛に顔を歪める大学生にそんな断り方をされてしまっては
「電波なのはお前だろ」
と考えてしまったことでしょう。
しかし僕も内心「電波なのはお前だろ」と思っているので、これでおあいこにしておきます。
さて次の勝負はこれ。
もずく醤油です。
さきほど100均でネタ探しにウロウロしてたらたまたま目に入ったものです。
食べたことはないのですが、さっぱりしていてかなり付着するタイプの調味料のようです。
「色々な料理にのせたり、あえたり、はさんだり」
とありますが、まさか企画した人たちもこれを食用粘土の味付けに使われる日が来るとは思っていなかったことでしょう。
早速つけていきます。
感覚的にはチューブの練り生姜に近いですね。
せっかくなのでオシャレにプレートに盛ってみました。
面白い光景を前に、涙の跡が残る僕も「フフ」と笑顔になってしまいます。
では実食……
でもどうせこいつも僕のことを裏切って…………
おや?
あれ?
いける……
いけるぞ!!!!
何でしょうかこれは、あっさりしているのに味が強くて全く粘土の匂いがしない……!!
そうか、初期に手に入る分厚い鎧よりも後半で手に入る露出の高い布の方が防御力が高いのって、こういうことだったんだ!!
これなら!!
と思い咀嚼しているとやはり効果が薄まりほのかに迫ってくる粘土の匂い。
させてたまるか!!!
プライドを捨てた僕はお皿にソースのように盛りつけられたもずく醤油様をフォークですくい口に運びます。
通常であれば味が濃すぎてそれこそえづいてしまいそうな行動ですが、もう今の僕にとってこれは水。水です。
もずく醤油様で砂利を流し込むようにして、不快感(この時点で不快感のラインは最低まで下がっている)を感じることなく食用粘土をやっつけることに成功しました。
と思ったものの、やはり直後に口が異常に塩辛くなって、めちゃくちゃ水を飲む羽目になりました。
強すぎる技には反動がつきものです。
もずく醤油、いわばはかいこうせんやハラキリブレードのようなものなのでしょう。
しかしこれで、極端なものであれば砂利の匂いを誤魔化せることがわかりました。
もう"味"とはなにかわからなくなってきた僕はこんなものを引っ張り出してきました。
さんまのみそ煮
「骨まで美味しい!」
と書いてありますからね。
きっと粘土も美味しく食べさせてくれることでしょう。
はい
口に放り込む。
うん……まあ……そうだね……
さんまのみそ煮と……粘土の味……
としか言いようがなく……はい……
何も感じなくなってきたので、この辺りで今日の食用粘土チャレンジを止めておきます。
今後味覚を失うことになっても嫌なので……
さて、かつて日本でここまで暴力的な節約生活が存在したでしょうか。
今日の昼ご飯は食用粘土のおかげで調味料含めても100円以下ですが、かわりにそれ以上の体力と大切な何かを消費してしまったように感じます。
「人から貰った食べ物を捨てない」という最低ラインは保っていますが、こんなペースで心をすり減らしていては食用粘土を完食する頃には僕はペッパー君と同じレベルの感情しか持ち合わせていない生き物になってしまいます。
そこで僕は、世界でいちばん長い歯磨きをしながら決めました。
11/4、SLSに持って行こう。
こんな記事を読むということは、あなた、食用粘土に興味がおありですね?
僕も申し込みが通ればサークル参加致しますので、もし遊びに来られた際は是非お声掛けください。
ひとくち、どうぞ。
お待ちしております