(続き)
2組目の話を聞いたのは時間が空いて、高校生になってからでした。
今回のカップルはカップルというか少し形が違うのですが、出会い系で知り合った2人の話です。
箱田くん(仮)としましょう。
箱田くんは小学生からの知り合いで、中学と高校、もちろん大学も違ったのですが田舎なのもありお互いそこそこ様子を把握している関係でした。
そんな彼でしたが、ある時期を境に連絡が取れなくなりました。
まあ毎日連絡をとっていたわけではないので正確な日付は覚えてませんが、誰からともなく友人間で
「あいつもしかして死んだ?」
という噂が流れ始めました。
そのうち直前の様子を知っている人から話を聞いたのですが、なんでも最後の挨拶は
「遠距離恋愛してた中学生とセックスの約束したから山形まで行ってくるわ」
とのことでした。
マジで???
しかも知り合った場所は出会い系サイト。
本当に出会えるの!? と言う驚きと、いやそれサクラじゃ……と言う不安が混ざる僕たち
しかし当時高校生です。
お盛んな時期の僕らはその話を聞き羨ましさ半分、中学生はヤバいでしょ半分、羨ましさ半分と羨ましさ半分で聞いたのですがマジで連絡が取れない。
家庭環境が難ありなやつだったので実家に押しかけるわけにもいかず、結局箱田くんからの連絡はないまま数ヶ月……
知ってる人が言うにはその中学生は自称"日本で4番目にお金を持ってる会社の社長の娘"らしく、もうその時点で胡散臭さが溢れてます。
そんな明確にランキング分けされてるわけないだろ、金持ちに関して
箱田くんが派手に騙された、とみんなで悲しみましたが、よく考えると相手方もわざわざ山口県の男子高校生を山形まで呼びつける理由もわかりません。
お金を持ってるわけがないし、内臓が欲しいならもっと近場でもいいはず。
ただひとつ考えられるのは、箱田くんはイケメンでした。
だとすればもしかしてあいつ……
僕たちが箱田くんを心配することはなくなりました。
それから半年後、僕は受験などもあり連絡をとっていないままでしたがある日友人から
「箱田、筋肉バッキバキになってるの知ってる?」
というLINEが届きました。
どゆこと???
詳しく話を聞くと、中学生とヤるためにバスや飛行機を乗り継ぎ山形まで行った箱田くんは普通にその家のお母さんに歓迎され、そのまま親公認の元、家でヤッてたそうです。そういうことを
親公認ってなんだよ。お見合いか。
出会い系サイトも見方を変えればお見合いではありますが……
箱田くんから聞いた話を又聞きしているのでどこまで本当かはわかりませんが、相手方のお母さんはSMプレイを専門とするお店の女王様らしく、鞭を振るうのもうまければそういう関係にも寛容な方だということでした。
そしてネットを通じて箱田くんに惚れてしまった中学生の女の子は、親にそれを伝え家に箱田くんを呼びつけてそういう関係に……
しかもしばらくそこで暮らしたらしいし。
なんなんだ。
何が1番なんなんだというと、このエピソードに箱田くんが筋肉バッキバキになった話が一つも関係してないところですが、詳しくは聞かないでおきましょう。だって相手のお母さんがSMプレイのプロらしいし。
そして無事山口に帰ってきた箱田くんですが、山形へ二度行くことはありませんでした。
次の相手を別のサイトで捕まえていたようです。
「一度きりの関係でいいんだよ」
とは言っていましたが、向こうの女の子からすればガチ惚れした上での遠距離恋愛……
しかし連絡手段が限られている以上、箱田くんが嘘の住所を教えていればどれだけ惚れていようともう会うことはできません。
ひどい話だとは思いますが、遠距離恋愛(遠距離恋愛か?)にはそれだけリスクが伴うモノなのでしょう。
惚れた腫れたの難しさを知りました。
3組目は以前務めていたバイト先の先輩の話です。
これはそんなに詳しくは知らないのですが、かなり人数の多いバイト先で、入ってすぐに先輩から
「あの人(美人の先輩)彼氏いるからね〜w」
と言われていた中川先輩(仮)という方がいたのですが、その先輩が同じバイト先のイケメン先輩にしつこくベタベタしている。
ちなみにイケメン先輩の好きな人はキュアミューズなのでお互い振り向くわけがない。
おや、と思いながら後輩の僕は食器を運んでいたのですが、あまりに気になり過ぎたため他の先輩に話を聞くと、
「中川ちゃん、地元に遠距離の彼氏入るけど東京でいい人見つけたら結婚するって言ってるよ」
ひぇ〜〜!!
じゃあ今の彼氏はキープってことじゃないですか!!
たしかに、キープと思えば距離が離れている相手は連絡だけマメにしてればいいですし、そういうことをして罪悪感の湧かない人ならいい相手なのでしょう。
ちなみに見せてもらった彼氏さんの写真はめちゃくちゃいい人そうでした。
そんな……
やっぱり遠距離恋愛ってどっちかが先に飽きちゃったりするんだ……
普通の恋なら態度で冷めたことがわかるかもしれませんが、連絡だけだとなかなかそれも伝わりません。隠そうと思えばいくらでも隠せます。
恐ろしいですね。
遠距離恋愛、こわ!!
何故こんな話を当然したかというと、僕は今山口から東京へと戻るため夜行バスに乗っているのですが、隣の席の男性が乗る前に
「ごめんね……っ」
と言いながら彼女さんに熱いハグをしており、涙ながらに別れ、カーテンの隙間から窓越しに見えなくなるまで手を振っていたのを目の当たりにしたからです。
そして男性はフードを被りしばらくすすり泣いていたのですが、
「ここまで別れを悲しむくらい好きなんだな」
と隣の席で僕は不思議な気持ちになってました。
彼女との別れを悲しむ男性がいる一方で、
僕は自分の座席だけコンセントがないことに気づき絶望していました。
ヤバい
それは置いておいて、それだけならふーんで済んだのですが、問題はバスが出発してからでした。
隣の人、めちゃくちゃ彼女に電話かけてる。
こう言っちゃアレですがバスで隣だと画面見えるし音も漏れてるし誰にかけてるのかははっきりとわかるのですが、何が怖いって彼女が全く電話に出ない。
どゆこと????
さっきまであんなに熱く別れを悲しんでたのに???
長続きするカップルは倫理観も当然似ているはずで、夜行バスの中で平気で電話をかける彼氏のいる女性なら相手がどこにいるのかわかっていようと多少応答はするはずです。
なのに彼氏はかれこれもう1時間くらい電話チャレンジを続けている……
これはもしかして、バイト先の先輩と同じく……
そんな想像をしてるとなかなか眠れず(隣が電話待機音でうるさいし)、遠距離恋愛について考えてました。
文章にしたから何なんだって話なんですけどね。
彼女もいない僕がこんなことを書いてもガチでしょーもないのですが、中には遠距離でうまいことやってる方々もいるはずです。
というかそういう人の方が多いから遠距離恋愛という単語があるのでしょう。
僕は自分がそこまで人に惚れた経験もありませんし、これくらいしか遠距離恋愛についてのエピソードを知らないので明るいイメージは持っていないのですが、きっと僕よりも経験があり長いこと生きているであろうフォロワー、
遠距離恋愛ってどう思います?