ぶっせつまか はんにゃはらみた しんぎょう
かんじざいぼさつ ぎょうじんはんにゃはらみったじ しょうけんごうんかいくう
どいっさいくやく しゃりし しきふいくう くうふいしき しきそくぜくう
芭蕉です。
今日は、僕は、狭いアパートの、自分の部屋で、ゴキブリと戦っていました。
ゴキブリと戦っていました。
今月で一番緊迫感のあるやりとりをしました。
先週末たまたま入った銀行に強盗が押し寄せてきて立て篭もられた時より緊迫感がありました。
そんな出来事はなかったのですが
基本的に僕は自炊をしているので、ゴキブリが部屋の中に発生すること自体は諦めています。
それに家に来たことがあるフォロワーならわかると思うのですが、ウチのアパートは建物の構造上玄関の前がめちゃくちゃ不衛生で、宗教の勧誘なんかがきてドアを開けっぱなしにしておくと足元から虫が入ってきそうな雰囲気はあります。
家賃安いので仕方ありませんが……
なので彼らとは互いの私生活に干渉しないという条件付きで同棲しています。
しかし、部屋が狭いということもあり我が家にはゴキジェットも瞬間冷凍スプレー(10秒であらゆる虫を固めることができる武器、あぶない)も置いてありません。
つまり目の前に彼らが現れた時、僕にはなにも武器がないのです。
まあこれに関しては彼らも外見の気持ち悪さという武器しか持っていませんし、それをいえばこちらは180センチ近くある身体が武器といえば武器なのでおあいこでしょう。
すみません、本当は170センチちょいなのに見栄はって180センチっていっちゃいました。
さて、問題はここからです。
この部屋の家賃を払っているのは僕。彼らは僕に無断で部屋に上がり込んでいるも同等。
僕はゴキブリのことが「彼氏ができた途端に知り合いの男全員(キープくんは除く)をブロックする女の人」並に苦手なので、即座に出て行ってもらう必要があります。
というか今日に関しては料理しようと思ったら台所にいたので本当に泣きそうでした。
さすがにゴキブリとはいえ1センチを超える生き物を殺すのは気が引けるので、玄関から出て行ってもらうほかありません。
何か装備は……
リーチが短い……
しかしないよりはマシです。
箱ティッシュを使って
ここに張り付いている彼をなんとか下に構えた袋に
突き落としたいと思います。
ちなみにこの袋をこの形にセットするのに3分くらいかかりました。
ビビり倒しながらやってたので。
ここまで用意したものの、僕はゴキブリのことが「別れた後もしばらく彼女面して他の人と喋るたびに怒る女の人」並に苦手なので、なかなか触れることができません。
正面からしばき倒すだけ、それにはちゃめちゃな勇気が必要となります。
……そうだ!
ツイキャスで騒ぎながらやればすぐ終わるのでわ!!?!?
ちなみにこの時はまだインストールしてなかったので、思いついた瞬間ゴキブリから目を離しすぐにインストールを開始しました。
よし、これがインストールできたらきっとすぐに……
……ん?
ゴキブリが消えた
おぎゃあ
────surprise
よく見たら少し上に移動しただけでした。
ビビらせんなよ、
クソが
ボケ
カス
アホ
失礼しました、僕はゴキブリのことが「冗談半分でした約束をぼちぼち長期にわたって覚えてて困ると切り札として使う女の人」並に苦手なのでつい口が悪くなってしまいました。
しかしこの瞬間にもゴキブリは僕からどう逃げるか、もしくは僕をどう殺すか頭をフル回転させているはずです。
通常のゴキブリなら人間から逃げようとしますが、彼が「ゴキブリ界のチェ・ゲバラ」でないという証拠はどこにもありません。
奴らは隙を見て我々の生活空間を己のものにせんと企んでいます。
なんて奴らだ……
こうしててもラチがあきません。
ツイキャスはインストール完了したもののログインのパスワードを求めてきます。
そんなことしてたらゴキブリが逃げちゃうでしょうが!!!
まさかお前もゴキブリの味方か?
フィディル・カストロなのか????
こうなってはツイキャスも信頼できません。
今信じられるのは、自分の、箱ティッシュを持った、左腕だけ
箱ティッシュとこんなに連携感が芽生えたのはサモさんのビート板で抜いたとき以来です。
それほどに緊迫した状況
深呼吸する僕
触覚を動かすゴキブリ
やるしかない
いくぞ
バン!!!!!!!
隣の部屋の喘ぎ声より大きな音がキッチンに鳴り響きます。
落下するゴキブリ。
袋に落ちる音。
やったか!?
ガサガサガサガサガサガサガサガサ
ガサガサガサガサガサガサガサガサ
ガサガサガサガサガサガサガサガサ
ガサガサガサガサガサガサガサガサ
うおおおおあ生きてる生きてる生きてる生きてる生きてる生きてる生きてる!!!!!
袋を閉じなければ数秒後には彼はここから出てきますが、僕はゴキブリのことが「付き合ってもないのにクラスの人にそういう関係をほのめかす噂を自分で流す女の人」並に苦手なので、ガサガサ音のする袋の口を閉じるなどできそうにもありません。
しゃーない
ガチャッバサッバンッ!!!!!!!!!!!!
鬼のような速さで玄関の扉を開け、袋をそのまま外に放り投げてドアを閉めました。
急に訪れる静寂
肩で息をする僕
使えなくなった箱ティッシュ
ゴ
キ
ブ
リ
の
い な い 部 屋
勝ちました。
多分エヴァに乗って初めて使徒を倒したシンジ君もこんな気持ちだったんじゃないですかね。
このあとはすぐに料理する気にはならなかったので、卵を買うために着替えてスーパーに出かけるついでに袋はきちんと捨てました。
近寄る時の緊張感といったら、バイト先に元カノが来た時並みの緊張感でした。
遥か彼方の女と書いて彼女じゃないんですか
こんな近所にいていいんですか
それだと近女(きんじょ)じゃないですか
ちなみにスーパーでは、まだ動揺していたのでしょう、全く必要のないボディーソープと昨日買ったばかりのカップラーメン、家にもまだあるティッシュや新発売の味の氷結をバカみたいな量カゴに詰めてレジに並んだところで財布を忘れていたことに気づきました。
PayPay使えたんで良かったんですけど
そしていつもはウキウキでやる楽しいお料理も、この日はいつどこから第2波がくるかと警戒して気が気ではありませんでした。
アルミホイルのぐしゃぐしゃ具合を見てもらえればわかると思います
特に棚の中の調味料をとる瞬間が怖かった
この文章を書いてる今現在も、今コタツに入っているのは僕1人ではないのではないか、という不安に襲われています。
恐らく今日は寝るまでこの不安にさいなまれ続けるのでしょう。
不安で不安で仕方ないので、誰かに構ってもらおうと思い元カノにライン送ろうとしたら、
ブロックされてました。